アルコール依存症とは
<長年の習慣的な飲みすぎがもたらす病気>
お酒は「百薬の長」とも「万病のもと」とも言われ、適量の飲酒は健康に良いと言われますが、
多量のお酒は心身に好ましくない影響を及ぼします。
飲み過ぎが習慣化している人の中には、時間や場所を選ばずにどんなことをしてもお酒が飲みたくなり、飲み始めたらやめられなくなるといった状態に陥る人もいます。
<危険な量はどのくらい?>
アルコール依存症の発症リスクが少ない”節度ある適度な飲酒”は壮年男性の場合、
純アルコール量換算で1日20g以下であるとの数値を示しています。
これは、1日ビール500ml(日本酒1合弱、25度焼酎なら100ml、ワイン2杯程度)に相当します。
1日の飲酒量がこの3倍以上になると飲みすぎとなり、アルコール依存症になるリスクが高まると警告されています。
単純に計算すると1日にビール3本、日本酒3合弱、25度焼酎300ml、ワイン6杯程度を超える量にあたります。
まずは日頃から量をコントロールできる飲み方をする、1週間に1~2日は飲まない日をつくる、という習慣を身につけるようにしましょう。
<早期に治療すれば回復が早い>
アルコール依存症が進むと体や精神に悪いばかりではなく、飲酒運転で摘発されたり職場でのトラブルが重なって失業、というように社会・経済的な影響がだんだん大きくなっていきます。
友人や家族との関係も影響を受け、自分の内・外の世界で多くの大切なものを失うことになってしまいます。
早期に治療を始めればそれだけ治療効果が上がりやすい病気です。
アルコール依存症のサイン・症状
<アルコールへの精神的な依存がある>
アルコール依存症への精神的な依存とは、強い飲酒欲求とそれに基づくコントロールのきかない飲酒で特徴づけられます。
・お酒を飲むべきでない時にも「飲みたい」と強く思う
・飲む前に思っていた量より、飲み始めるとつい多く飲んでしまう
・いつも手元にお酒がないと落ち着かない
・数時間ごとに飲酒する「連続飲酒」をする
<アルコールへの身体的な依存がある>
アルコールがいつも体内にある状態が続くと、脳はそれが普通の状態だと認識し、アルコールが抜けてくると様々な不快な症状が出ます。
・酔いがさめると次のような離脱症状(禁断症状)が出る
手の震え、多量の発汗、脈が早くなる、高血圧、吐き気、嘔吐、下痢、イライラ、不安感、うつ状態、幻聴、幻覚
・離脱症状を抑えるために飲んでしまう
<体に現れるダメージ>
肝炎や脂肪肝、膵炎などの疾患や、生活習慣病、果ては消化器系の癌などの背景にアルコール依存症がある場合があります。
世界保健機関(WHO)によると、アルコール依存症は60以上もの病気や外傷の原因になると指摘されています。
<こころに現われるダメージ>
うつ病、不安障害、パニック障害などの背景にアルコール依存症がある場合があります。
このなかでも特に、「連続飲酒」と「離脱症状」はアルコール依存症の典型的な症状です。
アルコール依存症の治療法
<治療の内容>
アルコール依存症の場合、治療は外来でも可能ですが、わが国では治療の主体は入院治療です。
入院治療は次の3段階に分けられます。
1.解毒治療
体と心に起きている合併症の治療と、離脱症状の治療。
2.リハビリ治療
個人精神療法や集団精神療法で、本人に飲酒問題の現実を認識して断酒の決断へと導く。
退院後のリハビリ治療を視野にいれて自助グループへの参加なども始める。
本人や家族に十分な説明をしたうえで抗酒薬の投与も開始する。
3.退院後のアフターケア
a)病院・クリニックへの通院、b)抗酒薬の服用、c)自助グループへの参加、という「アフターケアの三本柱」を継続する。
1.の解毒治療は一般病院で行うことも充分可能ですが、2.リハビリ治療と3.退院後のアフターケアはアルコール依存症の治療のノウハウを持つ専門施設に委ねるのが良いでしょう。
<アルコール依存症の治療で行われる精神療法>
アルコール依存症治療の中心的存在です。
個人精神療法や集団精神療法で、本人に飲酒問題の現実を認めさせ断酒の決断へと導きます。
<アルコール依存症での薬物治療の種類>
・低栄養の治療
・肝臓などの治療
・精神症状に対する治療
・離脱症状への治療
・お酒を遠ざける(抗酒薬)
<断酒維持のための支援>
・自助グループ
本人やその家族が同じ立場の人達と交流し、断酒継続の助けとする断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)などがある。
参照:「アルコール依存症」(みんなのメンタルヘルス)
(http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_alcohol.html)
アルコール依存症を扱った作品など
●酔いがさめたら、うちに帰ろう。
参照:「酔いがさめたら、うちに帰ろう。公式サイト」
(http://yoisame.jp/)
●光のほうへ
参照:「光のほうへ」
(http://www.bitters.co.jp/hikari/index.html)