障碍者雇用への取り組み

M.I.E

障碍者雇用の取り組み 第11回

M.I.E

M.I.E対談の様子

三重県雇用経済部 雇用対策課
主査 宇陀 未来さん
インタビュアー 山下 広幸(NPO法人 障害者雇用創造センター 理事)

「M.I.E」を多くの人に手に取っていただき、良さを知ってもらいたいです。

山下 まず始めに、M.I.E(ミー)について教えてください。

宇陀 2015年の11月25日に三重県内の障がい者就労支援事業所等が集まり、それぞれの事業所が作ったモノを「ブランド」として商品化して販売する取り組みを始めました。M.I.Eとはmany identity emotionをコンセプトに、作り手たちが一生懸命丁寧に作り上げた商品を手に取っていただきたいという想いを込めた商品ブランドです。

山下 M.I.Eを立ち上げた背景はどのようなものだったのですか?

宇陀 元々、三重県の取り組みとしてステップアップカフェCotti菜を障がい者の方がスタッフとして働くカフェとしてオープンしました。そしてCotti菜には三重県内の障がい者就労支援事業所が作っている商品を紹介したり販売したりしていくという役割もありました。そこで「さをり織り」という織物をしている事業所の商品をCotti菜で展示したところ、偶然、東急ハンズの関係者の方が見られて「これなら何か商品化できるのでは?」と提案していただいたのが、そもそもの始まりです。

Input here.

山下 M.I.Eブランドは、さをり織りをクローズアップした商品ラインアップで構成されているのですか?

宇陀 全てではないですね。今後は名前にこだわらずに「三重県の障がい者就労支援事業所に所属する人が作る織物」として売り出していきたいと考えています。色が鮮やかでお客さんが「いいな!」と思って手に取ってもらえるものが織物だったので、既製品にはない手作りの良さがお客さんに伝わっているのだなと思います。

山下 現在は立ち上がって間もないですが、どのような店で取り扱っているのでしょうか?

宇陀 立ち上げからお世話になっている東急ハンズ名古屋店ですね。3月から期間限定で近鉄百貨店四日市店にも出店をされているので、そちらでも置いていただいています。4月末からはCotti菜でもコーナーを設けています。他には、津駅前にある雑貨屋さんMAGGIE B(マギービー)でも取り扱っていただいています。

山下 メジャーな販売店の販路があるのは良いですね!売れ行きとしてはどうですか?

宇陀 バッグがよく売れています。東急ハンズの担当さんにサイズなどアドバイスをいただいたペタンコバッグというコンパクトなバッグが非常に売れていて、生産が追いつかない状況です。あとはブックカバーが大好評です。ブックカバーはサイズ感だったり見た目だったり、織りの良さが凄く生きるのかもしれません。

山下 M.I.Eの製作をしている就労支援事業所の協議会は今後、どのような展開を見せていく予定ですか?

宇陀 事業所の皆さんでブランドの運営をしていってもらえるようにしていきたいです。まだ製作・納品の体制が整っていない事業所もあるので、安定して収益をきっちり出せる状態になっていただく事が目標ですね。そうなれば、他の事業所も協議会に参加してもらえるようになると思います。

山下 成功事例を作って、そこから参画事業所を増やしていくということですね。

宇陀 織物を作るというと、ハードルが高いと思われがちです。M.I.Eをやっていく中で各事業所が情報交換をしてもらって、製作のためのノウハウを培ってもらいたいですね。そうなれば障がい者の方も参加しやすくなるし、支援員も支援がしやすくなると思います。

山下 福祉の事業所は、作業の事で手一杯になってブランディングやマーケティング、オーダーリングなどが課題になっていますね。

宇陀 売るなら福祉関係の所で、という発想にどうしてもなっているのだと思います。実際にM.I.Eの商品が一般の店で販売してもらえたということが知れ渡って、意識が変わっていけば良いと思いますね。

山下 お店ではM.I.Eのコンセプトが分かるように展示されているのですか?

宇陀 特に説明がある訳ではないですね。商品タグにはHPアドレスも記載してあるので、気になった方が見てもらえればと思っています。

山下 福祉を全面に出すのではなく、一般の商品と同じように売られているわけですね。今後の展望と課題を教えてください。

宇陀 事業所の皆さんが販売に段々前向きになっているので、商品の在庫を持てるようになりたいですね。現在は人気商品が在庫切れになって納品を待ってもらうという事も起こっていますから。事業所によっては、作り手を増やす取り組みも始めています。生産数が増えていけば、別の取引先も増やしていきたいですね。

山下 M.I.Eに続いて、三重県の障がい者雇用について今後どういった流れを考えていますか?

宇陀 三重県障がい者雇用推進企業ネットワークで企業側のニーズをもっと伺って具体的なアクションを行えるようになりたいですね。企業ネットワークで企業の理解を深めていくことと、M.I.Eのブランド運営がうまくいくように支援していくこと、そしてCotti菜で障がい者が働くことについてもっと多くの人に知っていただくこと、また企業とM.I.Eとも繋げていきたいですね。

山下 Cotti菜からM.I.Eや企業に繋がっていったように、企業ネットワークからもCotti菜やM.I.Eに繋がっていけるようにしていくことが望ましいですよね。最後に一言お願いします。

宇陀 まずは、M.I.Eを多くの人に知ってもらいたいですね。手に取っていただいてM.I.Eをお気に入りの一品にしていただけたらと思います。

事業所の担当者の声

「ワークショップみらい」矢野 智美さん

販路拡大や情報(障がいがあっても素晴らしい商品を作っていること)の発信など、1事業所では難しかったことが実現できるかもしれない、とブランド事業に参加しました。協議会は、今は事業所と県の担当者で会議をしていますが、今後は各事業所の織る人、縫製担当のボランティアさんなども情報交換し技術を高め合う場を作り、色々な人たちの協力を得て、商品づくりをしていければと思います。

Cotti菜

宇陀さんとのインタビューを行ったCotti菜でも販売中。
人気のペタンコバッグや夏もののストールなど、
是非手に取ってその優しい肌触りを体験してください。

第11回 「M.I.E」を多くの人に手に取っていただき、良さを知ってもらいたいです。


第10回 就労移行支援を利用すると意識が変わる!


第9回 三重県障がい者雇用促進企業ネットワーク


第8回 苦手なことが出来た時、喜びは倍以上になる


第7回 企業の障がい者雇用の門は、大きく開いています!


第6回 行政も福祉も病院も連携をもって繋がり、地域で動いていきたい。


第5回 これからの福祉と求められる就労支援


第4回 様々な方に働く場所を提供する事が国や社会への恩返し!


第3回 とにかく自分で、こうしたい、あぁしたいと気持ちを持つこと。


第2回 気負わず、落ち着いて、考え過ぎないことが大切。


第1回 あきらめないで!まずは外に出ることから。「僕でも出来ました!」


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