○ホースセラピーとは

動物には人を癒す力があります。それがアニマルセラピーと呼ばれるものですが、
アニマルセラピーのなかでも馬を使って行うセラピーのことを
「ホースセラピー(乗馬療法)」といいます。
正式には「ホース・アシステッド・セラピー(HAT)」といい
ヨーロッパではアニマルセラピーとしてポピュラーな治療手段で、
スイスやドイツなどでは健康保険が適用されているほどです。

乗馬を通じ、また馬の手入れやエサをあげたりなど、馬と触れ合うことによって
心や身体に障害を持たれている方の精神機能や運動機能を改善させ、
また不登校や引きこもりなどの悩みを持たれている方の社会復帰を
早めるリハビリのひとつとして、「医療・教育・スポーツ」の
3つの要素を持ち合わせている事からも、
ホースセラピーは日本でも近年徐々に広まりをみせています。

横にインストラクターが付いて馬を引っ張って行うので、
もちろん乗馬経験は全く必要ありませんし、運動神経も全く関係ありません。
馬もホースセラピーのためにしっかりと訓練された大人しい馬を使うので、
身体に障害を持たれている方でも安心してセラピーを受けていただくことができます。

○ホースセラピーの効果

身体的なホースセラピー効果
乗馬はただ馬に乗っているだけのように見えても実はかなりの運動効果があるのです。
馬に乗るときには無意識にバランスを取ろうとするので、
腹筋や背筋などを中心として筋力アップの効果があります。
乗馬は普段はなかなか使わない部分の筋肉も使いますし、
馬が歩くときのリズムの良い振動が脳を刺激し、身体をマッサージするという効果が
身体の不自由な方に有効なのです。
また、足や膝などにも負担をかけずに運動することができる上に、
乗馬は有酸素運動なので身体の不自由な方にはもちろん、
糖尿病などの病気療法のリハビリとしてもホースセラピーは使われているのです。

心理的なホースセラピー効果
不登校で学校に行けない子どもや引きこもりの方の治療法としても効果を上げています。
馬に乗ると目線が一気に高くなります。
「自分に自信を持つことができない・・・」という方でも馬に乗って目線が高くなり、
自分よりもずっと体の大きい動物である馬を自分の思い通りに動かすことによって
自然と自信を持つことができるようになるのです。
また、馬はとっても心の優しい動物です。
馬と触れ合い、馬の温もりを感じる中で「思いやり」や「心の安らぎ」が生まれ、
癒しの効果につながるのです。
これにより日頃のストレスや孤独感などを馬が軽減してくれるのです。

○ホースセラピーで活躍するのはどんな馬か

例えば、犬なら全部が全部の犬が盲導犬になれないように、
どんな馬でもセラピー馬になれるわけではなく、必要な資質を備えていないと
ホースセラピーで使うことはできません。
馬を使った競技にはそれぞれの競技によって求められる資質が違います。
例えば、障害飛越競技では障害を飛び越えるジャンプ能力や
障害に向かっていく勇敢な精神力が求められますし、
エンデュランス競技では長い距離を走り切るスタミナ、持久力が求められます。
また、競馬では他の馬よりも速く走ることができるスピード能力が要求されます。

そして、ホースセラピーで最も求められる資質は人間に対して従順で
人間との信頼関係がしっかりとできており、穏やかで優しい性格だということです。
ホースセラピーでは基本的には常歩でゆっくりと歩いて心と身体の癒しを提供します。
障害を飛ぶ必要も速く走る必要もないので運動能力はセラピー馬にはほとんど関係なく、
性格が最も大事になってきます。
穏やかで人懐っこい性格、または何か物音がしても驚かない、
物見をしないということも大切ですし、
もちろん人間を噛まない、蹴らないというのが大前提です。
そして、健康で病気になりにくく丈夫だというのも
セラピー馬に大切な要素のひとつです。

ホースセラピーは子供が受ける場合も多いことから、
ポニーのような体の小さい馬もよく使われます。
ホースセラピーは心の癒しを与えるものですが、子供がサラブレッドのような大きい馬に乗って
その高さに怖がってしまっては本末転倒です。
なので、小さい体で子供にも安心感を与え、性格的にも大人しいポニーは
ホースセラピーに適している馬種のひとつなのです。

参照:みんなの乗馬サイト
http://www.minnano-jouba.com/